セクシャリティ
性的マイノリティとは?セクシャリティは4つの要素で決まる
性的マイノリティとは、自分の性に違和感を覚えたり、同性に恋愛感情を抱いたりするなど、男女では区別できないセクシャリティのことです。性的マイノリティは、「性的少数派」「性的少数者」「セクシャルマイノリティ」などとも呼ばれます。本記事では性的マイノリティの概要をはじめ、セクシャリティが決まる要素や性的マイノリティが抱える悩みなどを紹介します。
目次
性的マイノリティとは
性的マイノリティ(セクシャルマイノリティ)とは、自分の性に違和感があったり同性に恋愛感情を抱いたりするなど、男性または女性に区別できないセクシャリティのことです。
出生時に割り当てられた性別が男性でも、必ずしも全員が女性に恋愛感情や性的欲求を抱くわけではありません。恋愛感情を抱く相手が同性だったり、そもそも恋愛感情を抱かなかったり、性の在り方はさまざまです。
また、出生時に割り当てられた性別と自分で認識している性別が一致し、性的指向は異性に向くというのが一般的とされている社会では、性的マイノリティが「性的少数派」「性的少数者」などと呼ばれることがあります。
セクシャリティを決める4つの要素
セクシャリティを決める4つの要素は以下の通りです。それぞれの意味を詳しくみていきましょう。
- 身体的性
- 性自認
- 性的指向
- 性表現
●身体的性|生まれたときの身体構造
身体的性は、生まれたときの身体構造から判断される性で、体の性とも呼ばれます。出生時に性染色体・外性器・内性器・性腺などの要素から、性別が判断されます。例えば、出生時に男性と割り当てられた場合の身体的性は男性です。
●性自認|自分が認識している性は何か
性自認は、自分が認識している性で、心の性とも呼ばれます。性自認における性は、身体的性と関係ありません。
例えば、身体的性が男性であっても、性自認は女性ということもあります。そのため、身体的性と性自認が一致していなくても、それは異常ではなく、セクシャリティのひとつです。
また、身体的性と性自認の性が異なっても、性別適合手術を望む人もいればそうでない人もいるように、身体的性と性自認が異なるセクシャリティをひとつにくくることもできません。
●性的指向|どのような性に恋愛感情が向くか
性的指向は、どのような性の人に恋愛感情や性的欲求を抱くかという要素です。身体的性や性自認とは関係ありません。
「男性は女性が好き」「女性は男性が好き」というのが、一般的に認識されている性的指向の向きです。しかし、なかには「男性が好きな男性」「女性が好きな女性」など、人によって性的指向の向きは異なります。
また、「男性と女性のどちらにも恋愛感情を抱く」「どのような性にも恋愛感情を抱かない」など、性的指向の向きやあり方はさまざまです。
●性表現|自分の性をどのように表現するか
性表現は、自分が認識している性をどのように表現するかという要素です。性表現の主な方法としては、服装・立ち振る舞い・言葉遣いなどが挙げられます。
例えば、身体的性と性自認が男性でも、「スカートを履きたい」というように性表現は女性である人も存在します。
自分をどのような性に見られたいか、どのような性を表現したいかなどによって、性表現は異なるのです。
性的マイノリティはLGBTだけではない!
性的マイノリティとして「LGBT」という言葉や存在の認知が広がりつつあります。LGBTとは、「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシャル」「トランスジェンダー」の頭文字から構成されており、それぞれのセクシャリティは以下のような意味・概念を持ちます。
セクシャリティ | 意味 |
レズビアン | 女性に恋愛感情や性的欲求を抱く女性。女性同性愛者。 |
ゲイ | 男性に恋愛感情や性的欲求を抱く男性。男性同性愛者。 |
バイセクシャル | 男性と女性の両方に恋愛感情や性的欲求を抱く人。両性愛者。 |
トランスジェンダー | 心の性と体の性が異なる人。 |
ただし、性的マイノリティにはLGBT以外にもさまざまなセクシャリティが存在します。セクシャリティに正解はありません。どのようなセクシャリティであっても、誰もが生きやすい世の中にしていくため、性のあり方は一人ひとり違うことを認識することが大切です。
【一覧】LGBT以外の主なセクシャリティ
LGBT以外にもさまざまなセクシャリティが存在します。そこで、LGBT以外のセクシャリティを以下の表にまとめました。ただし、以下の表で紹介するセクシャリティは、ほんの一部にしかすぎません。
セクシャリティ | 意味 |
クィア/クエスチョニング | 身体的性と性自認の性が定まっていない人。あえて定めていない人も含まれる。 |
Xジェンダー | 性自認が男性と女性のどちらでもない人。具体的には、「男性と女性の両方」「男性と女性のあいだ」「男性でも女性でもない」「時には男性で時には女性と流動的」などの状態が挙げられる。 |
アセクシャル | 恋愛感情の有無に関係なく、他者に性的欲求を抱かない人。 |
ノンセクシャル | 他者に恋愛感情を抱く反面、性的欲求は抱かない人。アセクシャルの一種。 |
アロマンティック | 性的欲求の有無に関係なく、他者に恋愛感情を抱かない人。 |
パンセクシャル | 相手の性に関係なく、他者に恋愛感情を抱く人。 |
グレーセクシャル | 他者に性的欲求を抱くことが少ない人、また特定の条件や状況下では他者に性的欲求を抱く人。 |
トランスセクシャル | 身体的性と性自認が一致しておらず、性別適合手術を望む人またはすでに終えている人。トランスジェンダーの一種。 |
アブロセクシャル | 性的指向が流動的である人。「昨日はノンセクシャルだったけど、今日はアセクシャル」など、自分のセクシャリティが変化する。 |
トランスヴェスタイト
(クロスドレッサー) |
身体的性と性自認は一致しており、異性の性表現(服装・身だしなみなど)を行う人。身体的性と性自認は男性で、スカートを履くなど。 |
性的マイノリティの割合は10%程度
2019年にLGBT総合研究所が行った調査によると、LGBTをはじめとする性的マイノリティの割合は、10%程度であることが分かっています。
ただ、同じ調査で分かったのが、認知度は高いものの理解度は低いということです。LGBTという言葉を認知している人の割合は91%である反面、言葉の意味を理解しているのは57.1%にとどまりました。
性的マイノリティは10人に1人の割合で存在します。もしかすると、身近にも性的マイノリティの人がいるかもしれません。
そのため、性的マイノリティであるかそうでないかにかかわらず、「性的マイノリティの人も当たり前に存在している」と知ることが大切です。
出典:株式会社 LGBT 総合研究所「LGBT意識行動調査2019」
性的マイノリティと性同一性障害との違い
性的マイノリティと性同一性障害が同じ意味合いで使われることがありますが、この2つはまったく異なる意味を持ちます。
性的マイノリティは、世間一般的にみると性的少数派であるLGBTなどのセクシャリティの総称です。そのため、性的マイノリティにはさまざまなセクシャリティが含まれます。
一方で性同一性障害は、身体的性と性自認の性が異なり、性別適合手術を望む人またはすでに手術を終えている人を指します。また、医学的には「精神障害」と分類されている時代もありました。
しかし、現在では性同一性障害は精神障害という分類から除外され、名称も「性別不合」や「性別違和」に変更されています。
このように、性的マイノリティと性同一性障害はまったく異なる意味を持ちます。また、性同一性障害という言葉は差別的なニュアンスを含むため、現在は使わないようにしましょう。
【あるある】性的マイノリティが抱える悩み
世間一般的にみると人口の少ない性的マイノリティは、さまざまな悩みを抱えています。そこで、性的マイノリティが抱える悩みやあるあるをいくつか紹介します。
カミングアウトしづらい
自分のセクシャリティをカミングアウトする際、性的マイノリティのほとんどの人が以下のような不安を感じます。
- 否定されないかなぁ
- 避けられないかなぁ
- いじめやからかいの対象にならないかぁ
- 気持ち悪いと思われないかぁ
こういった不安から、なかなかカミングアウトできないと悩む人は多いようです。
ただ、カミングアウトは他人から強制されることではありません。自分のタイミングで行う、もしくはカミングアウトをしないという選択もあります。そのため、カミングアウトはするかしないかではなく、自分らしい選択をすることが大切です。それぞれの今後の人生におけるメリット、デメリット、リスクなど慎重に考えることをお勧めします。
異性愛者として振る舞うことが苦痛に感じる
自分が同性愛者であり、家族や友達に自分のセクシャリティをカミングアウトしていない場合、異性愛者として振る舞うこともあるでしょう。ただ、自分に嘘をつきながら会話をしたり振る舞ったりすることが苦痛に感じる場合があるようです。
家族や友達と良好な関係を維持するために、無理をして異性愛者として振る舞おうと努力することもひとつの選択です。しかし、無理をするばかりにストレスを感じたり精神的に追い込まれたりすれば、自分の健康状態に影響する可能性があります。
相談できる家族や友達、窓口などで悩みを打ち明けてみることで、少しは悩みが解消されるかもしれません。
相談先がない
自分のセクシャリティを周りにカミングアウトしていない場合、家族や友達に相談できないと悩みを抱える人も多いようです。
しかし、日本にはセクシャリティを相談する窓口や団体があり、悩みを打ち明ける場所が用意されています。家族や友達など、周りに相談先がない場合は、こういった窓口・団体へ相談してみるとよいでしょう。また、同じセクシャリティの人と交流することもいいかと思います。
結婚への決めつけやプレッシャーがストレスに感じる
性的マイノリティのなかには、同性と結婚したくても法律上結婚できない人や、そもそも結婚願望がない人も存在します。
しかし、男女での結婚が一般的であると認識される社会では、性的マイノリティは「結婚しないの?」「いつ結婚するの?」などの決めつけやプレッシャーに悩まされています。
結婚はセクシャリティにかかわらず、望む人とそうでない人がいるでしょう。また、同性婚が認められていない日本では、結婚したくてもできない人がいます。
そのため、日本でもさまざまなセクシャリティや考え方があることを知り、色んな選択肢ができるようになることが重要です。
同性パートナーが家族として認められない
同性婚が認められていない日本では、同性パートナーが法律上家族として認められないという悩みを抱えています。
異性愛者でも同性愛者でも、パートナーは家族です。しかし、同性婚が認められていないばかりに、以下のような問題が生じてしまいます。
- 戸籍を一緒にできない
- 子どもの親権者はどちらか一方になる
- 扶養に入れない
- 各企業に設けられた福利厚生を受けられない
さまざまなセクシャリティが存在するなかで、同性パートナーが家族として認められるには、国の制度が関わってきます。
国の制度は国民一人ひとりでどうこうできる問題ではありませんが、同性結婚を願う人がいる限り認められることが必要だと思います。
書類にある性別記載欄をどう書けばよいか分からない
役所や就職活動などで必要となる書類には、性別記載欄が設けてあることがほとんどです。しかし、性的マイノリティのなかには、自分のセクシャリティを男性と女性では表現できないという人もいます。そのため、どのように性別を記載すればよいか分からないという悩みがあるようです。
現在は、男性と女性のほかに「その他」「回答したくない」などの項目が設けられている場合もあります。
まとめ
性的マイノリティ(セクシャルマイノリティ)は、”男女”だけでは区別できないセクシャリティの総称です。「性的少数派」「性的少数者」などと表現されることもあります。性的マイノリティの割合は、10%程度といわれており、10人に1人が性的マイノリティであるといえます。性のあり方は人それぞれであり、正解はありません。自分らしいセクシャリティを見つけたり、性的マイノリティへの理解を深めたりするなど、自分にできることから始めてみましょう。
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