アセクシャルとは?
アセクシャルとは「無性愛者」とも言われており、他者に性的欲求を抱かない人をいいます。
「アセクシャル」という言葉はもともと英語圏で生まれ、「他者に性的に惹かれないこと」として定義されており、恋愛感情の有無は関係なく、性的欲求を抱かないセクシャリティのことをいいます。
しかし、日本ではアセクシャルを「恋愛感情も性的な欲求もない」という意味で使われることが多いですね。「恋愛感情はあるけれども性的欲求を抱かない」方を日本では「ノンセクシャル」と区分することが多いですが、厳密には「アセクシャル」なのです。
【アセクシャルとは?】動画でご紹介
ノンセクシャルという区分は日本独自の文化であり、英語圏以外の諸外国でもみられない傾向です。日本でこうした区分ができる背景としては、「恋愛感情の有無」を中心に捉える点が影響していると言われており、これは日本社会の恋愛感情を重視する傾向が反映されていると考えられています。まさに「恋愛至上主義社会」から生み出された区分なのかな、と考えさせられます。
アセクシャルは性的な行為の関心や欲求が少ない、もしくは存在しないと言われていますが、無性欲(性欲自体がない)や、性嫌悪(性的行為に嫌悪感を抱く)、性的欲求低下障害とは別に定義されているのです。
難しいですね。。。区別については、定義づけでみるのではなく、どうしてそのような概念ができたのかということと、その「目的」に注目したほうが良いかもしれません。例えば、アセクシャルと性的欲求低下障害の違いでいうと、アセクシャルは当事者が共通の経験をもとにコミュニティを作るためである一方、性的欲求低下障害は医療者が問題を書き出して治療するため、と捉えると理解しやすくなるのではないでしょうか。
また、先天的な場合もあれば後天的にアセクシャルになられる方もいます。これはアセクシャルという言葉を知って初めて自認する、という傾向にあるからではないかと考えます。つまり自分は今までは何となくストレートであろうと思っていたが、アセクシャルという言葉を知り、自分のなかでしっくりきたものがあって自認するといった場合ですね。アセクシャルという言葉は日本において2002年ごろから主に性的マイノリティの間で少しずつ認知されるようになったと言われています。区分があることで自認される方が増え、結果アセクシャルが今後増えていくかもしれません。
最近では、恋愛感情の有無に関して「ロマンティック・アロマンティック」という言葉が使われています。 恋愛感情はあるけれど性的欲求を抱かない、「ロマンティック・アセクシャル」。恋愛感情も性的欲求も抱かない、「アロマンティック・アセクシャル」。アセクシャルと一言で言っても、実は色んな方がいらっしゃるのです。
とはいうものの、私たちもコミュニケーションのため共通意識として、アセクシャルは「恋愛感情も性的な欲求もない」方だとしています。
恋愛感情を抱いたことがないから、恋愛が何かよく分からない。家族や友達を好きという気持ち、大切に想う気持ち、尊敬や憧れはわかるけど、「好きで好きで夜も眠れない!」のような気持ちは分からない。ましてや異性と性行為をしたいなんて思ったことがない。特に女性は、男性より性的なことについて友達との会話にもでてこず、ずっと自分が普通だと思っていたという方は少なくありません。自分が周りともしかして違うのかも?と気づき始めたのが一般的な結婚活動を開始してからという方も多く、本当にいろんな方がいらっしゃいます。
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アセクシャルあるある
アセクシャルと一言でいっても色んなタイプの方がいらっしゃり、
定義づけしていくと難しくなりますが、アセクシャルと言われる方々の「あるある」をご紹介します。
付き合ったことはあるけど...
- 恋愛感情を向けられた途端気持ち悪くなる
- 恋愛感情を向けられても大丈夫だけど、同じようにお返しできないから申し訳ない
- 相手から「好きじゃないよね?」といつも言われてしまう
そもそも付き合ったことがない、なぜなら...
- 恋愛が分からないから付き合うということを避けていた
- 異性から付き合おうと言われたことはあるけど、異性としてみられていたんだと感じて嫌悪感がわく
性行為はできるけど...
- 相手に求められたら対応してたけど、何がいいか分からない。「無」という感じ
- 最初は頑張るけど、回数を重ねると本当に無理
- 興味がないから相手に文句を言われてしまう
- 恋愛感情を向けられることが無理
性行為はしたことがない、なぜなら...
- 頑張ってトライしたけど最後まではできたことがない
- 性行為をするなんて考えられない
- (特に女性)性行為をするのはみんな義務でしていて、女性でしたいっていう人なんていないと思っていた
私は友達だと思っていたのに...
- 告白されてお断りすると「思わせぶりな態度とっていたのに!?」と驚かれる
- 告白されて、「異性と見られていたんだ」と感じ急に気持ち悪くなった
- 告白されて付き合ってみたけど、友達と恋人の違いが分からない
彼氏にアセクシャルについて説明して
理解したって言ってくれたのに...
- いつかは性行為を受け入れてくれると思っていた、と言われた
- 性行為できない人はいないので、いつかはできると思っていたと言われた
- 結局性行為を求められた
周囲の会話に違和感を持ち、相談してみるも...
- その時はいつかくるよ!
- まだ若いから。。。
- 本当に好きな人に会えたらわかるよ!
- 性欲が沸くのは20代後半の人もいるみたいだよ
…と言われ素直にその言葉を信じていたけど、やっぱりそうではないと結婚適齢期前後に気づかれる方が多いです。
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アセクシャルの結婚
アセクシャルの結婚の実情は大きく分けて3つに分類されると考えます。
一般的な結婚(恋愛結婚)
異性愛者として、一般的な結婚(恋愛結婚含む)をされます。性行為が絶対に無理!という方には難しいと思われますが、妊活のためであれば性行為を我慢できる人、耐えられる人に可能性がある傾向にあります。また、異性愛者同士でも長年の結婚生活において徐々にセックスレスになる夫婦も多くいますので、妊娠するまでは性行為できる!と思われる人には可能性があるかもしれません。(ただ結婚相手が出産後も性行為を頻繁に求めてくるタイプかどうかはその時まで分からないので賭けになると思います。)
異性愛者の理解者を自力で探す
パートナーが異性愛者(いわゆるノンケ、ストレート)で、アセクシャルに理解を持つ方をご自分で探して結婚される方もいます。ただ、これはとても困難で、自力で探すには多大な労力も時間も要します。ご自身の力だけで探して出会える可能性はなかなか難しいことですが、それでも実際にいらっしゃることも事実です。
友情結婚
性愛はないけれども、友情や愛情など様々な気持ちのつながりで婚姻を結ぶ結婚です。性行為がないということ以外、基本的に一般的な結婚(恋愛結婚)と変わりません。当人同士が十分に話し合い、信頼関係を築いていくという上でも、一般的な結婚(恋愛結婚)と同様です。いわゆる、偽装結婚(籍だけ・ビザ目的・金銭目的での結婚)とは異なり、多種多様な生き方がある中で、自分らしいライフスタイルを得るための選択肢の一つです。
友情結婚につきましては、こちらでも詳しく説明しております。
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アセクシャルのコミュニティ
セクシャルマイノリティのコミュニティは主に3つあります。
オフ会
アセクシャルのコミュニティといえば、やはりオフ会が一番目に頭に浮かぶのではないでしょうか。オフ会には、TwitterなどのSNSから検索し参加します。実際の素性はどうか不明な点もあり、不安もあるかもしれませんが、一般的なのかもしれません。
マッチングアプリ
アプリでご自分の希望する条件で検索して出会ったり、アプリ内のサークル、趣味のグループなどで出会ったり。サークルやグループでは、オフ会もあると思います。カラーズからも「FrieMa+(フレマ)」というマッチングアプリをリリースしています。
他のマッチングアプリとは違い、友情結婚に特化しているのが特徴です。友情結婚に特化しているため、女性はアセクシャルの方が多いです。ぜひ覗いてみてくださいね。
成婚者の会「CFC(Colorus Family Club)」
カラーズで成婚された方は、成婚者の会(CFC)に参加できます。
無料で参加できる、成婚者による成婚者のための成婚者の会です。
友情結婚活動時は、お見合い相手や話し合い相手など、友情結婚活動者と会うことが多く、またカラーズとのやり取りもあり、友情結婚活動が当たり前のように自分の生活の一部になっていきます。
しかし、成婚退会すると一気に他の友情結婚関係者とは出会わなくなります。CFCでは、同じ友情結婚者同士で情報交換や息抜きができるような場所になればいいと思い設立しました。カラーズの成婚者という事は、基本的にセクシャルマイノリティの人ばかりですので、セクシャルをオープンに話していいというところもメリットですね。是非成婚者同士で、企画立案の上でイベントなどを開催してもらったらと思い、交流のきっかけづくりとして、懇親会を定期的に開催しています。 CFCにつきましては、こちらでも詳しく説明しております。
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アセクシャルの人口
人口の1%がアセクシャルだと言われています。
これはBogaertが「性的惹かれがないこと」をアセクシャルの指標とした上でイギリスに住む16歳から59歳を対象に行われた「性に対する態度とライフスタイルに関する全国調査」を分析し、回答者のうち1.1がこれまで誰に対しても性的惹かれを感じたことがないアセクシュアルであると示したからです。
またBogaertはアセクシャルは男性よりも女性のほうが多いことも明らかにしています。
女性の方が多い背景要因として、下記の可能性を挙げています。
- 男性の方が女性よりも性的に活発であることを性役割として求められていること
- 男性と比べて女性の方が性器の反応から性的に興奮していてもそのことに気づかずに他者のことを性的な対象として捉えていないこと
- 女性の方が自慰などのような性的指向を形成するにあたって重要な経験をもっていないこと
- 他者に対する性的惹かれをもとに性的指向を測定しても女性の主観的経験をうまく捉えることができていないこと
日本においてもアセクシャルについて量的調査がなされたことがあります。2019年に行われた「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート(大阪市民調査)」結果では、性的指向アイデンティティとして「アセクシャル・無性愛者」を選んだ回答者は0.8%であることがわかったとのことです。他のセクシャル・マイノリティのカテゴリーと比べると、両性愛者 (1.4%)よりは割合が低いものの同性愛者(0.7%)とほぼ同じ割合であることがわかりました。
また、出生時の性別にみると、出生時性別が男性の場合は回答者の0.3%がアセクシャルであるのに対し、出生時性別が女性の場合は回答者の1.1%がアセクシャルであり、諸外国の調査でみられるアセクシャルは男性に比べて女性の方が多いという結果が日本においても確認されました。
埼玉県でも2021年に無作為抽出調査を実施しており、結果、回答者の0.7%がアセクシャルと自認していることがわかりました。
カラーズに入会された方(全847名 2022年2月時点)のうちアセクシャルと自認されているのは全体の28%もいらっしゃいます。
注目すべきは、性別でみると、男性は6%であるのに対し、女性は43%がアセクシャルということです。カラーズでも諸研究同様、女性のほうがアセクシャルが多いことがわかります。私たちもBogaertの考えと同様に、女性のほうが性器の形成上からも性的興奮に鈍感なところがあるからなのかや、男性は生物学的に子孫を残さなければならないという本能が強いためにアセクシャルは女性のほうが多いのではないか、と考えています。
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