LGBT・マイノリティ
恋愛感情を持たない「アロマンティック」とは?ロマンティックとの違いも解説
アロマンティックとは、他者に対して恋愛感情を抱かない人・指向を意味します。LGBTQ+など、性の多様化は世界中で広がっており、アロマンティックもさまざまあるセクシャリティのひとつです。本記事ではアロマンティックについて、特徴やよく間違われるアセクシャルとの違いなど、詳しく解説していきます。
目次
アロマンティックとは
アロマンティックとは、他者に対して恋愛感情を抱かない人・指向を意味します。LGBTをはじめとするセクシャルマイノリティのひとつです。
アロマンティックは、あくまでも「他者に対して恋愛感情を抱かない」というのが特徴で、他者に対して性的欲求は抱く場合があります。
ただし、アロマンティックに明確な定義があるわけではありません。それは、同じ性的指向を持つ人であっても、個々に持つ価値観・恋愛観・性格・特徴などが異なるためです。
アロマンティックの具体的な特徴
アロマンティックの方によくある特徴や傾向を一覧で紹介します。参考までにご覧ください。
- 恋愛に興味がない・嫌悪感がある
- 恋愛感情が何か分からない
- 恋愛の話についていけない
- 恋愛をテーマにした作品(ドラマ・映画・小説など)に共感できない
- 他者に性的欲求を抱くことはある
上記でアロマンティックの特徴を紹介しましたが、同じアロマンティックでも、さまざまな価値観を持つ人が存在します。
そのため、アロマンティックでもすべての項目に該当しないことや、すべての項目に該当したところで必ずしもアロマンティックであるとは言い切れません。
自分のセクシャリティが分からないという方は「性的マイノリティとは?セクシャリティは4つの要素で決まる」の記事を合わせて読んでみてください。
アロマンティックとロマンティックの違い
アロマンティックとロマンティックの違いは、恋愛感情の有無にあり、性的欲求の有無は関係ありません。性的欲求の有無に関係なく他者に対して恋愛感情を抱かないのがアロマンティック、他者に対して恋愛感情を抱くのがロマンティックです。
また、アロマンティックとよく間違われるセクシャリティに「アセクシャル」や「ノンセクシャル」があります。
アセクシャルは、他者に対して恋愛感情も性的欲求も抱かない人・指向のことです。「アロマンティックアセクシャル」と呼ばれることもありますが、日本ではアセクシャルという呼び方が一般的です。
ノンセクシャルは、他者に対して恋愛感情を抱くが、性的欲求を抱かない人・指向のことです。「ロマンティックアセクシャル」と呼ばれることもありますが、日本ではノンセクシャルという呼び方が一般的です。
アロマンティックとロマンティック・アセクシャル・ノンセクシャルの違いを表にまとめてみました。
恋愛感情 | 性的欲求 | |
アロマンティック | × | ○/× |
ロマンティック | ○ | ○/× |
アセクシャル
(アロマンティックアセクシャル) |
× | × |
ノンセクシャル
(ロマンティックアセクシャル) |
○ | × |
日本で「アセクシャル」「ノンセクシャル」が一般的になった理由
もともとアロマンティック、ロマンティック、アセクシャルなどの言葉は英語圏で生まれました。
そして、日本では「アロマンティックアセクシャル」や「ロマンティックアセクシャル」という呼び方より、「アセクシャル」や「ノンセクシャル」という呼び方が浸透しています。
では、なぜ日本では「アセクシャル」「ノンセクシャル」という呼び方が一般的になったのでしょうか。とくに「ノンセクシャル」に関しては、日本独自の考え方・文化であり、英語圏以外の諸外国ではほとんど認識されていません。
この背景には、日本人が「恋愛感情の有無」を重視していることが挙げられます。テレビや雑誌では恋愛が頻繁にテーマに取り上げられるなど、日本は長きにわたって恋愛至上主義の価値観が定着していました。
このような価値観に影響されたため、日本で「ノンセクシャル」という区分が誕生し、同時に「アロマンティックアセクシャル」「ロマンティックアセクシャル」ではなく、「アセクシャル」「ノンセクシャル」が定着したのだと考えられます。
そもそも恋愛感情と性的欲求はどう違う?
アロマンティックであるかどうかは、恋愛感情の有無によって判断されます。しかし、恋愛感情に明確な定義があるわけではありません。
例えば、「キスをしたい」という感情を恋愛感情と捉える人がいれば、性的欲求と捉える人もいます。また、他者を好きになったとしても、「友達として好きなだけで恋愛的な好きではない」という場合もあるでしょう。
このように、恋愛感情は個々の持つ基準によって意味が異なります。そのため、必ずしも自分のセクシャリティを1つに絞る必要はありません。
ただし、恋愛感情と性的欲求の2つの感情を抱く人がいれば、「どちらか一方の感情しか抱かない人」「どちらの感情も抱かない人」がいます。そのため、人によって基準は違えど、恋愛感情と性的欲求の2つの感情は異なることを理解しておきましょう。
蛙化現象とセクシャリティはまったくの別物
蛙化現象とは、好意を抱いている相手が自分に好意を抱いていると分かった途端、相手に嫌悪感を抱いてしまう現象のことです。片思いから両想いになった瞬間、相手が気持ち悪く感じるといったイメージです。
この蛙化現象は、テレビやSNSで話題となり取り上げられる機会が増えました。そして、蛙化現象が起こることをひとつのセクシャリティと認識している人もいますが、蛙化現象はセクシャリティのひとつではありません。
蛙化現象はセクシャリティに関係なく、誰にでも起こりうる現象です。そのため、蛙化現象が起こることをセクシャリティのひとつと勘違いしないよう注意しましょう。
アロマンティックでも結婚できる!
アロマンティックの方でも、1人のパートナーを望むケースはよくみられます。しかし、アロマンティックは他者に対して恋愛感情を抱かないため、「パートナーが見つからない」「結婚できない」と悩む方も多いようです。
そのような方に選択肢のひとつとして知って欲しいのが「友情結婚」です。友情結婚とは、恋愛ではなく考え方や利害の一致のもと、性行為のない結婚を意味します。
性行為がなくても、当事者同士が話し合い、理解を深め、信頼関係を築いていくという点では一般的な結婚と変わりありません。
また、一般的な恋愛結婚も、必ずしも全員が恋愛をして結婚しているとは限りません。「互いの条件や相性がよいため」「家族のため」「子どもが欲しいため」など、結婚を望む理由はさまざまです。
そのため、アロマンティックであっても性行為ができる場合は、一般的な結婚をすることもできる可能性はあります。
「アロマンティックだから…」とセクシャリティを理由に結婚を諦めることなく、どの方法が自分に最も合っているかを考え、友情結婚もひとつの選択肢として、自分らしいライフスタイルを見つけてください。
まとめ
アロマンティックは、他者に対する性的欲求の有無に関係なく、他者に恋愛感情を抱かない人・指向を指します。混同されやすいアセクシャルは、他者に対する恋愛感情も性的欲求も抱かない人・指向を意味し、アロマンティックとは異なります。
ただし、同じアロマンティックでも個々が持つ価値観や恋愛観は異なるため、必ずしも1つのセクシャリティに絞る必要はありません。自分のセクシャリティと向き合いながら、自分らしい生き方を見つけていきましょう。友情結婚が向いているかどうか確認してみたい、という方は無料でできる友情結婚の無料正規性診断を受けてみてください。
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