Vol. 3

友情結婚のために家族や地元を離れるかどうか

投稿日

2022.01.15

更新日

2022.08.12

こんにちは。カラーズに入会し、友情結婚(成婚退会)しました佐藤と申します。

私は現在、友情結婚を機に家族や地元を離れ、見知らぬ土地で生活しています。
私の地元は田舎の方だったため、カラーズの登録者が当時そこまで多くありませんでした。居住希望範囲を地元以外に広げた方が良い、と入会当初にアドバイスをいただき、悩んだ結果、範囲を広げました。
地方の会員も増えてきているとはいえ、まだまだ地域によって母数の差があることも事実です。入会を検討されている方や、活動をされている方の中にも、友情結婚をすることで家族や地元を離れなければいけないことに迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私もその一人でした。個々人の環境や子どもの有無などによって違いがあると思いますが、一例として私がどのように考え家族や地元と離れる決断をしたのか、実際離れてみてどうだったのか、ご紹介します。

目次

家族や地元と離れる決断をした理由

私は家族や地元が好きだったため、それらから物理的に離れることになってまで結婚したいのか?ととても悩みました。いずれは子どもを授かりたいと思っていたので、両親に孫を合わせてやりたい、子育て中のサポートが欲しい……という気持ちもありました。
けれど、地方の登録者が比較的少ないのも事実です。いつか現れるかもしれない、地元に住んでいる方を延々と待ち続けるか、これくらの距離なら良いかと妥協して活動をするか悩み、最終的には後者を選択しました。
もともと、私が友情結婚をしようと思った理由の一つに家族の存在がありました。家族、特に両親は老いていき、私よりも先に亡くなる可能性の方が高いです。そう考えたときに、私が大好きな人たちが生きていた証を残せないだろうか、私が両親からしてもらったように、次は私が誰かに愛情を注いで、両親の記憶を残せないだろうか、と思うようになりました。
そのため、地元に居続けることよりも、結婚できる確率の高さを優先し、地元以外でも活動をすることにしました。
ただし、出来れば日帰りで行き来ができる距離にしたかったため、居住希望範囲を全国にはせず、東日本・西日本の範囲で留めるようにしました。

家族や地元と離れたメリット①自分たちらしく過ごせる

実際、家族や地元から離れて、寂しいと思わなかったわけではありません。けれど、想像よりは早く環境に慣れたな、と思っています。

まず、友情結婚だったからではないかと思います。
地元は田舎ゆえに、プライバシーの点で少し距離が近い部分がありました。友情結婚であることを隠すためには、家族ぐるみの付き合いが多すぎると粗が出てしまうかもしれません。実家が近いと自宅まで両親が来る回数が増えたり、夫婦の生活に違和感を持たれてしまったり、そういった危険性があるかもしれません。
そういった点では物理的に離れて暮らしているため、帰省した際に夫婦らしくしていれば良く、通常はストレスなく、自分たちらしく生活できています。

家族や地元と離れたメリット②心機一転できる

私は転居を機に転職をしました。また、友人とも物理的に離れました。
友情結婚だからというより、私の性格やセクシャリティによるものだと思いますが、あまり友人や職場の方から、自分の恋愛や結婚の話を聞かれたくない気持ちがありました。多少なり、友情結婚であることを隠すために嘘をつかなければいけないこともあります。
転職および転居によって、人間関係が少し整理されました。根掘り葉掘り聞いてきそうな人とは物理的に離れましたし、そういったことを聞いてこない・聞かれても良いと思える人とだけ今は連絡を取っています。
新しい環境で過ごすことで、結婚する前の自分と、後の自分とで線引きができ、また一から頑張るぞ!という気持ちになりました。

家族や地元と離れたデメリット

家族や地元と離れて想像よりは苦労はしませんでしたが、子どもが産まれてから、この選択が果たして良かったのか、と思うことが増えたのも事実です。
出産の際は里帰りをしたのですが、実家では子どもをとても可愛がってもらいました。そのため、自宅に戻る際には「もう子どもの成長を生で見せられないんだな」と悲しい気持ちになりました。写真や動画を送ったり、ビデオ通話が出来るとは言え、やはり私の両親にとっては、孫を抱っこしたり実際に触れ合えないことは寂しいようでした。
また、大好きな祖父母に会える回数が少なくなるのも心残りでした。

実際暮らしてみて①寂しさ

ネットやSNSが発達しているため、そこまで寂しさはありません。
新型コロナが流行し、仕事がテレワークになったり、オンラインで人と会う機会も増え、「意外と対面でなくても大丈夫かも」という場面もあるかと思います。家族や地元と離れていても、今はSNSで連絡を取ることができ、ビデオ通話もできるので、久しぶりに対面で会ったときも「久しぶり感」がありませんでした。
一緒に外出できない、触れ合うことができない、という点で寂しさがないわけではありませんが、思っていたよりもホームシックな気持ちにはなっていません。
地元は日帰りできる距離にあり、結婚してからも何度か帰省しています。また、活動中には毎月日帰りで高橋さんと交互に会いに行ったりしていました。そのため、いざという時には帰れる、という距離感も良かったのかもしれません。

実際暮らしてみて②子どもの存在

デメリットの部分で子ども(孫)の成長を生で見せられないと記述しましたが、地元で友情結婚をするために気長に待つか、居住希望範囲を広げるかを天秤にかけるなら、やはり私は家族や地元と離れて良かったと思っています。
離れるという選択をして、高橋さんと結婚しなければ、子どもは生まれませんでした。地元で頑張って婚活を続け、高橋さん以外の人と結婚して子どもを授かるという未来もあったかもしれませんが、その未来には、今目の前にいる子どもはいないはずです。
「やっぱり地元にいればよかった、家族の傍にいればよかった、高橋さんと結婚しなければよかった」と思うことは、子どもの存在を無かったことにしたかった、というのと同義です。目に入れても痛くない、可愛い子どもが産まれたということは、私の選択は正解だったと思います。

実際暮らしてみて③複数拠点の楽しさ

大学生のときに地元を離れて一人暮らしをしていたため、今では全国各地に友達がいます。旅行に行ったり、仕事で出張に行った際にも会えたりして、地元以外での繋がりがあることがとても心強く、人生を豊かにしてくれていると感じます。
子どもにとっても、自分が住んでいるところ以外にも自分を愛してくれている人がいること、拠り所があることは、人生を豊かにしてくれるのではないかと思います。
私の祖母も地元を離れて結婚しています。私よりも移動距離が長く、SNSのやり取りがない中でも、祖母は兄弟姉妹と毎日のように電話し、物を送り合ったり、たまに旅行に行ったりと、それはそれで楽しそうにしています。
物理的に離れてしまうことと、心が離れてしまうことは別物なのだと、祖母を見るといつも思います。
子どもが大きくなったら夏休みなどに一緒に実家に帰って遊ばせたい、もっともっと大きくなったら子ども一人で実家に行かせて旅をさせたい……今はそういう夢が膨んでいます。

後悔しないために

どちらの選択が正解、という答えはありません。結局は自分が何を大切にしたいか、何を優先したいかによると思います。
私もいつか、やっぱり家族の近くに住んでいれば良かった、地元にいれば良かったと後悔するかもしれません。けれど、後悔しても過去は変えられないので、結局は今の環境で満足いくように努力したり、考えをプラスに変えることしかないのだと思っています。
少なくとも今は、パートナーと子どもに恵まれ、環境に恵まれ、家族や地元と離れるという選択をして良かったと思っています。

sato
著者:佐藤

10代でノンセクシャルを知り、20代で恋愛結婚はできないと断念。一念発起してカラーズに入会後、友情結婚(成婚退会)しました。人工授精で子どもを授かり、現在は夫の高橋さんと協力しながら子育て真っ最中。元友情結婚活動者、結婚当事者のリアルな姿をお届けします。