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友情結婚当事者から観た「恋せぬふたり」②
こんにちは。カラーズに入会し、友情結婚(成婚退会)しました、佐藤と申します。
1月からNHKで放送されている「恋せぬふたり」というドラマが、先日最終話を迎えました。1話から観ていたのですが、終わり方がとっても素敵で良いドラマでした。
最終的に彼らが結婚するまでは語られなかったのですが、その関係性や暮らしぶりは友情結婚と似通っていたように思います。友情結婚当事者から観た、ドラマの感想を書いていきたいと思います。
以降、ネタバレを含みますのでご注意ください。
前半は主人公の咲子が、自身がアロマンティック・アセクシャルだと気付き、葛藤する姿や、同じくアロマ・アセクの羽と同居するまでが描かれていました。こちらは前回のドラマの感想で書かせていただきました。
後半は二人が「家族(仮)」として生活することになり、家族ってなんだろう、家族になるってどういうことなんだろう、と模索していく姿が描かれています。
子どもの有無
咲子と羽は、咲子の妹の出産を機に、子どもについて考えるようになります。
羽は子どもは希望しておらず、悩んでいた咲子もそれを聞いてホッとしている自分に気づき、結局子どもがいない生活を選びました。
ドラマの尺も限られていますので、子どものくだりはあっさりと終わりましたが、実際に友情結婚を希望している方は、子どもはどうするかと一度は考えるのではないでしょうか。
私はいずれ子どもを授かりたいと思っていました。けれど、実はブライダルチェックをしないまま成婚退会しました。高橋さん(私のパートナー)もブライダルチェックをしていませんでした。
入会時の説明でそういうものがあるのだと初めて知り、とりあえず登録をしておいて後でブライダルチェックを受けようと思っていたものの、あれよあれよと日が経ってしまい、気付いたら成婚退会へ……という感じでした。
今でこそ、子どもが生まれて良かったで終わるのですが、もしブライダルチェックを受けられていない方がいらっしゃれば、ぜひ受けられることをお勧めします。
もし、私か高橋さんのどちらかが子どもを授かれない体質だと結婚後に知ったら、私はこの友情結婚を続けていたかどうかわかりません。私も高橋さんも、友情結婚をしたい理由の一つが子どもだったので、もしそれが叶わないとなると、結婚した意味が揺らいでしまいます。
例えば養子縁組などの選択肢もありますが、ブライダルチェックを受けない、もしくは受けて子どもを授かれないとわかってもその相手と結婚したいという意思があるのであれば、事前に養子縁組などの選択肢についても話し合ってから成婚退会された方が良いと思います。
二人は別居婚?
羽はやりたい仕事があったものの、生まれ育った家を手放したくない、咲子との居心地の良い「家族(仮)」の生活を解消したくない、という理由で仕事を諦めます。けれど咲子は、一緒に住んでいなくても私たちは家族だ、と羽の背中を押します。
そうして羽は家を離れ、自分のやりたい仕事に打ち込みました。咲子は羽の生まれ育った家で生活し、ときどき羽を連絡を取り合って、自分らしく生きていきます。
二人の生活は別居婚に近いものがあるのではないかと思いました。
友情結婚をされている方の中にも、同居ではなく別居を選ばれる方もいらっしゃいます。結婚をしたのに別居?それって、結婚する意味ある?と思われるかもしれませんが、それも一つの家族のかたちであるのだと、ドラマでは締めくくっているように思います。
一緒に住んでいないと家族じゃない?
前回のドラマの感想で、このように書かせてもらいました。
———自分が自分らしくいられて、一緒にいて苦でない人で。楽しいことも辛いことも共有してくれそうな相手であれば、誰とでも「家族」にはなりえるのではないでしょうか。
二人はまさしく、自分が自分らしくいられる存在にお互いなったのだと思います。
一緒に住んでいないと家族じゃない、というのであれば、例えば単身赴任で離れて住むことになってしまったり、進学で一人暮らしを始めたり、という状況に理屈が通じないですよね。
今でこそ、恋愛結婚でも別居を選ばれる方もよく聞くようになりました。
2016年にTBSで放送された「家族ノカタチ」というドラマでは、主人公の男性と、結婚した女性は、結婚前に同じマンションの部屋をお互い購入していたので、結婚後は二部屋(上下階)を行き来しながら生活し、時には自分の部屋で一人時間を楽しむ、という生活をしていました。
それを観たときは「なんて理想的な結婚生活なんだろう!」と思ったのを覚えています。
私は高橋さんと一緒に住んでいますが、部屋は別々にあり、寝室も別です。食事は一緒にしますが、その後の自由時間はお互い部屋で過ごします。
それでも、高橋さんとの絆は感じます。咲子と羽のように、お互いの大切なものを守りながらも、隣を並走していってくれる心強いパートナーという感じです。
信頼関係の築き方
恋愛結婚であれば好きという感情や愛情があるから、離れても家族だと言えるのかもしれません。けれど、友情結婚であっても同じではないでしょうか。好きという恋愛的な気持ちがなくても、お互いが大事な存在だと思えるのであれば同じです。
とはいえ、理屈ではなく感覚で相手を好きだと思える恋愛結婚とは違い、友情結婚はより理性的に信頼を築く必要があります。
私が高橋さんに信頼を置き、この人となら家族になれる、なりたいと思った理由は、以前のブログ『Vol.2 結婚相手選び、「ココ」を見ました』で書かせてもらいました。今でもその選択は間違っていなかったと思っています。
信頼を築くには、相手を知ること・自分を知ってもらうことが必要です。そのためには、一にも二にも話さなければいけません。咲子と羽も、事あるごとに話し合いの場を設けては、色々な問題を解決していっていました。時には意見が食い違ったり、その話は止めにしようにと遮る場面もあったのですが、結局は二人で徹底的に話し合って解決していっていました。その点では、まず「話し合いをきちんとしてくれる相手であるかどうか」は最低限見られておいた方が良いのではと思います。
自分らしく生きること
結婚はゴールと思われてしまいがちですが、あくまで長い人生の中の通過点です。けれど、人生の節目でもあるので、誰もが真剣に考え、悩み、決断していくのだと思います。
「結婚すること」に焦点が当たりすぎてしまうと、その目的や意味を忘れてしまいがちです。特に友情結婚を希望されている方は、恋愛感情からスタートして、お付き合い、結婚と自然にそういう流れになってしまう恋愛結婚の方とは違い、結婚したい理由が明確化していると思います。
友情結婚するかどうか悩んだり、友情結婚して新たな生活を始まってから関係性に躓いてしまったときには、自分がどう生きたいのか、何故結婚したいのかをもう一度思い出して欲しいです。そして、咲子と羽のように家族のかたちに囚われずに、自分らしく生きる選択をして欲しいです。
ドラマが伝えたかったこと
ドラマは、最後に咲子のこの台詞で締めくくられます。
私の人生に何か言っていいのは、私だけ。
私の幸せを決めるのは、私だけ。
友情結婚は、まだまだメジャーではなく、私自身も周りに隠しています。私は咲子と羽のように周りを巻き込む勇気はありませんでした。でも、このドラマが生まれたように、世の中は少しずつ、少しずつ、変わっていっているのだと思います。
誰もが他人の目を気にせず、たった一人の自分のために自由に生きられる世の中になることを、願わずにはいられません。