Vol. 14

私ってノンセクシャルかも?

投稿日

2022.12.11

更新日

2024.06.05

こんにちは。カラーズに入会し、友情結婚(成婚退会)しました、佐藤です。
私が恋愛結婚ではなく友情結婚をしたのは、「ノンセクシャル」だからです。自分がそうであると気付いたのは18歳の頃で、比較的早かったように思います。
このブログを読まれている方の中にも、「自分はノンセクシャルかも?」と悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。
「ノンセクシャル」と一言に言っても、人によって違う部分もありますが、私が感じる「ノンセクシャルあるある」を、私が自認した経緯とともにご紹介していきます。

目次

「好きだけじゃ駄目」なのが理解できない

初めて自分が普通と違うのかもしれないと思ったのは、18歳の頃に好きな人と付き合ったときでした。
当時は彼のことはもちろん好きだったのですが、付き合ってから日が経つにつれて、ハグ以上のことを求められるようになりました。その時に初めて「彼のことが好きなのに、性行為したいと思わないな」と気付きました。ハグをするだけで十分幸せだったので、それ以上のことが必要だとも思いませんでした。次第に、次会ったらしないといけないかも、もう拒めないかも…と恐怖さえ覚えるようになりました。したいと思わないことを無理矢理しないといけないことが、怖くてたまらなかったのです。
彼のことが好きなのに、会うのが怖い。好きという感情だけでは駄目なのだと、その時初めて知りました。

性行為の意味がわからない

未だに性行為をする意味がわかりません。
私は好きな人と一緒に過ごしたりハグするだけでも満たされるのですが、大体の人は性行為こそ愛情の証としているようで、何故それが必須なのかがわからないのです。好きという感情さえあれば、相手がしたくないと思うことをしなくていいのでは…と思うのですが、一般的には好き=性行為をするという図式があります。そんなに性行為が必要なのでしょうか。何のためにするのでしょうか。「好き」という感情だけでは、何故いけないのでしょうか。
性行為は、突き詰めれば生殖活動なので、子どもを授かりたいという理由ならわかります。そうではなくて、好きな人としたいと思う、その感情が理解できないのです。
大多数の人は、好きな人が出来たら「この人と性行為をしたい」と思うのでしょうか。そういう感情を持ったことが全くないため、前述したように好きな人に求められたとき、とても辛かったです。私はしたくないけど、嫌いという意味ではなくて…というのが通じなかったので、どうしようもありませんでした。

本当に好きな人じゃないのかと悩む

前述した彼とは、性行為をするのが嫌で結局お別れしてしまいました。私は本当は彼のことが好きじゃなかったんだろうか、好きだったら怖いなんて思わないのではないだろうか…ととても悩みました。
でも、彼が好きだったことは嘘ではありません。次回以降のブログで書きたいと思っていますが、私は以前ノンセクシャルの方とお付き合いをしたことがあります。その時は性行為が無く、お互い好きという気持ちだけで過ごしていたので、心から安心できましたし、本当に幸せだったなと今振り返っても思います。
「好きならできる」「そう思わないのは本当に好きではないから」。ただ一つ、性行為が出来ないというだけで、自分の気持ちを嘘だとされるのはとても悲しいことでした。

アピールする前に身を引く

私はノンセクシャルを自認した後に、ノンセクシャルではない人を好きになったことがあります。本来であれば、この人に好かれたいと努力するのかもしれませんが、その方は過去に女性とお付き合いした経験があることを知っていたので、ノンセクシャルではないとわかっていました。そのため、仮に好かれたとしても私はこの人と一緒にはなれない、ノンセクシャルであることを理解してくれるかわからない、理解してくれたとしてもそれが続くかわからない、相手に我慢や無理をさせてしまうならお付き合いしない方が良いと考え、何もアプローチはしませんでした。
この人がノンセクシャルだったら良かったのに…と、何度も何度も思いました。

ドラマの恋愛パートで急に冷める

私は医療ドラマやお仕事をテーマにしたようなドラマが好きなのですが、だいたい恋愛要素が入ってくることが多いです。だんだんと主題から離れて、恋愛がメインになってくると冷めて、見るのをやめてしまいます。
おそらく、感情があまり理解ができないからだと思います。ノンセクシャルなので恋愛感情はあるのですが、私も場合は少し薄い気もします。ドラマの話だと、相手が好きで突拍子な行動をしたりすることもありますが、そこまでする?と理解が追いつかなくて、急に冷めてしまうのかもしれません。
同じ理由で、恋愛ドラマはほとんど見ません。これも同じく理解ができないので、観ていてもつまらなく感じますし、興味が湧かないのです。男らしさや女らしさなど、ドラマなので過剰に描いているところもあるかもしれませんが、「キュンキュンする!」という感情を通り越して「え…気持ち悪…」と思ったりしてしまいます。一時期流行った「壁ドン」も、全然理解できませんでした。自分がされると想像すると、ぞっとします。
これはノンセクシャルというより、私の性嫌悪からくる感覚かもしれません。

恋愛の話が好きじゃない

ドラマと同じかもしれませんが、友達との会話の中で恋愛の話になるのは辛かったです。好きな人はできるものの、周りに言いたいかと言うとそうでもないですし、他人の恋愛話も特に興味がありません。共感することがないので、聞いていてもつまらないのかなと思います。そのため長く関係が続いている友達は、自然と恋愛の話をしない者同士が多いです。そっちの方が、私も友人も落ち着くというか、安心できる感じがします。
職場では飲み会などで「彼氏いるの?」とか「結婚するならどんな人がいい?」と言ったことを聞かれたことがあります。友情結婚が決まってからも「相手はどんな人?」「どういうところが好き?」と聞かれたりも…。
それらに答えることはとても苦痛でした。また、他人のことを聞いて楽しいの?ととても不思議でした。

恋愛に興味が無いと思われる

自分から恋愛の話をしないからだと思いますが、恋愛に興味がないと思われていました。友人からは「仕事の第一線で活躍する、キャリアウーマンだよね!」と(ありがたくも)言われたりしましたし、友情結婚する前に両親に話をしたときも「仕事を頑張っていたから、結婚する気はないのかと思っていた」と驚かれました。特に父は、結婚したあとも「まさかお前が…」という感じで、しばらくは信じられなかったようです(笑)

ノンセクシャルといっても色々ある

いかがだったでしょうか。
人によって好みや感情が違うように、ノンセクシャルと一言に言っても色々あると思います。けれど、「恋愛感情はあるけど性的感情はない」という性質を「ノンセクシャル」と括ってもらうだけで、私は救われたような気がしましたし、自分だけじゃないんだとホッとしたのを覚えています。
大多数の人と違うと、不安になりますよね。幸せな人生を送れないんじゃないか、結婚できずに一生一人で過ごさないといけないんじゃないかと、未来に明るい展望を持てないこともあるかもしれません。
けれど、普通に恋愛が出来る人だって、結婚できない人もいるし、離婚する人もいます。私のように、本当はノンセクシャル同士で恋愛結婚したかったけれど、結局は友情結婚をして、でも今は心の底から幸せだと思える毎日を過ごしている人もいます。
セクシャリティは自分の変えられない性質で、それゆえに人生の方向性を少し決めてしまうことがあります。だからこそ、まずは自分を知り、理解することから始めてみてはいかがでしょうか。

sato
著者:佐藤

10代でノンセクシャルを知り、20代で恋愛結婚はできないと断念。一念発起してカラーズに入会後、友情結婚(成婚退会)しました。人工授精で子どもを授かり、現在は夫の高橋さんと協力しながら子育て真っ最中。元友情結婚活動者、結婚当事者のリアルな姿をお届けします。