Vol. 3

友情結婚とシリンジ法

投稿日

2023.07.17

更新日

2023.08.18

先日、2歳の娘から「ママ!みてみて!$%’`*+@@!!」と言われたのですが、何と言ったのか分からず、「ウンウン!!しゅごいねぇ!!」と適当に言ったら、夫から「さすが!よく分かったね!何て言ってたの?」と言われて「適当に返事したなんて娘の前で言えっかよバーロー」と私の中の工藤が出かけたけちゅこです。
私はアセクシャルですが、カラーズさんから素敵なご縁を頂き、現在は夫と子供達、家族4人でワチャワチャ暮らしています。
今回は、妊活について書いていきたいと思います。これから妊活に取り組まれる方がいれば、ぜひ参考にして頂けたら嬉しいです!

目次

シリンジ法を選んだ理由

そもそもシリンジ法とは、「男性が自分で採取した精液を、シリンジ(針のない注射器のようなもの)を使って、女性が自分で腟内に注入する」という方法です。
私達はお互い「同居・子供有」希望だった為、結婚してすぐに妊活をスタートさせました。
妊活方法は、「シリンジ法」という方法を選びました。
理由は、費用が安い事と、体の負担が少ないと思ったからです。

まず費用ですが、楽天で「家庭用シリンジキット」と検索して出てきた商品を買いました。
2019年当時は20回分で約1万円でした。
つまり、シリンジ1回500円という計算になります。
この費用の安さ、そして自宅でできる、これは大きな魅力だと思いました。
私が購入した2019年~2020年当時のキット内容は、

1.針のない注射器
2.カテーテル(シリコーンゴムでできている、注射器の先の部分)
3.精子採取用の紙コップ

上記の物がそれぞれ20回分入っていました。2023年現在も同じなようです。
注射器とカテーテルは個包装されていましたが、紙コップは20個まとめて袋に入っていました。紙コップは一度封を開けるとなんとなく不衛生な気がしたので、医療用の「滅菌カップ」という物を別で買って、そちらを使っていました。滅菌カップは楽天で10個入りで2千円くらいでした。

また、以前はシリンジキットは20回セットしか販売されていませんでしたが、とりあえず試してみたい方へ向けた10回セットなんかも新しく販売されていました。 他にも、可愛いパッケージのシリンジキットなども販売されていて、シリンジの需要が高まっているんだなぁと感じました。

シリンジを始める前にしたこと

シリンジキットの楽天のレビューでは、「○回で妊娠しました!」と、たくさんの喜びのレビューが書いてあったのですが、レビューの件数の多さにしては、ネット上でのシリンジの妊活ブログなどが見当たらず、「このレビューは本当なのかな?」と半信半疑な所がありました。
夫からの提案で、まず、不妊治療を得意とする近くの産婦人科に行って、このシリンジキットで果たして本当に妊娠できるのかどうか、先生に聞いてみる事にしました。

先生は50代前半くらいの男性の先生でしたが、私がシリンジについて質問すると、「なにそれ?」と言われました(笑)
先生はシリンジの事を全く知らなかったようでしたが、シリンジキットの説明書を見せると、しっかり読んでくれて、「まぁ、理屈は合ってるね」と仰っていました。
やや懐疑的な顔はしていましたが(笑)でも否定はされなかったです。
若干の不安は残りましたが、「まぁやってみるか」と、チャレンジしてみる事にしました。

妊活スタート

シリンジは、私よりも夫の負担の方が大きいと思ったので(私個人の意見です)、彼がなるべくプレッシャーやストレスを感じないように、彼の体調に合わせて行うよう努めました。
私達はお互いにブライダルチェック済で、問題は無かった為、まぁすぐに妊娠するだろう、と高を括っていました。
しかし、すぐには妊娠しませんでした。

結論から言うと、妊娠が判明するまでに5ヶ月かかりました。

今まで私は生理が不規則に来る事はなかったのですが、転居だったり仕事探しだったりで環境が変わったからなのか、予定日より2週間遅れたりするようになって、「生理が来ないぞ?妊娠したかも!」と思って検査薬を使ってみたら、妊娠していなくてガッカリ・・・という事が続きました。

「私のやり方が悪いのかも?不規則な生活をしていたツケかも?」と思いましたが、ネガティブな気持ちになりたくなかったので、あまり気にしないようにしました。
彼も口にはしませんでしたが、彼も彼で、自分のせいかも、と思っていたんじゃないかな、と思います。
「ま、あまり期待せずに続けて行こうね」と、夫と話したりもしました。
妊活を始めた最初は排卵日に合わせてやっていましたが、なかなか妊娠しなかった為、途中から、「排卵日なんて関係ねぇ!!ガンガンいこうぜ!!」と、方針を切り替えたりしました(笑)
でも毎日やっていると、彼に疲れが見え始めたので、「できる時でいいよ」というスタンスを伝えました。途中からは自分たちのペースを掴み、マイペースに取り組む事ができたかな、と思っています。

シリンジの女性側の負担

シリンジを行うにあたって、男性側の労力に比べたら、私の負担なんてチューっと入れるだけだから軽いもんだ、なんて思っていましたが、確かに体の負担はそんなに無いのかもしれませんが、心の負担は思っていたよりありました。

佐藤さんも仰っていたように、生理的な不快感がありました。(佐藤さんブログ:Vol. 10 友情結婚と人工授精>>
私は毎回嗚咽しながら入れていました(笑)
ただ、誤解のないように言いますと、相手が夫だから、とかではないです。誰であろうと、体の中に何か入る感覚、あれは気持ち悪くなっちゃうと思います。

痛みはない

私は性行為の経験が無いので、入れる時痛いのかなぁ・・・と思っていたのですが、シリンジは痛くなかったです。挿入時に不快感があるだけで、痛みは全く無いです。生理の時のタンポンみたいな感じです。タンポンに慣れている方でしたらスムーズに入れられると思います。

気を付けていたこと

最初は「こんな感じでいいのかな?」とふわふわした感じでしたが、だんだん慣れてきます。注射器といっても針は無いですし、ふにゃふにゃしたシリコーンゴムのストローのような感じです。
チューっと入れた後は、精液をたらさないようになるべく膣をキュッと締めたりしていました。気を付けていたことはそれくらいです。私はお風呂に入る時にするか、時間が無い時や朝などはトイレでやっていました。私はお風呂の方が姿勢も変えられてやりやすかったです。

シリンジでかかった費用は?

なかなか妊娠せず、「このまま妊娠できないのでは・・・」と、不安になる事もありましたが、シリンジでの妊活を始めて5ヶ月後に念願の妊娠をする事ができました。
結局、シリンジキットを4セット(80回分)購入して、4セット目の封を開けてすぐに妊娠が判明したので、かかった費用は、

シリンジキット代500円×約60回=3万円
滅菌カップ代200円×約60回=1万2千円

合計約4万2千円ほどでした。

でも滅菌カップを使わなくても妊娠できます。シリンジキットのレビューでは、滅菌カップを使ったよ、という人はあまりいませんでしたから。なんとなく不衛生な気がする、というだけの気持ちの問題で買っていました。もしいつか3人目が欲しい、となってまた妊活をするとしたら、滅菌カップはもったいないし、もう買わなくてもいいかもなぁと思いました。

ちなみに2人目の妊活時は、開封済みの4セット目が丸々余っていたのでそれを使い、5~6回ですぐに妊娠しました。
同じやり方でしていたと思うのですが・・・どうしてでしょうね(知らん)

まとめ

なかなか妊娠せず落ち込む事もありましたが、2人でゲームをしたりテレビを見て笑ったり、大学生の夏休みみたいな日々(笑)があったおかげで、結婚当初まだぎこちなかった私たちの距離が、ぐんと縮まったと感じているので、あれは必要な5ヶ月間だったと思っています。

シリンジは費用も安いですし、自宅でできるのは本当に大きなメリットだと多います。シリンジへの偏見が無くなり、もっとシリンジがメジャーになったらいいのになぁと思って今回書かせて頂きました。シリンジがメジャーでない理由って、もしかすると、「気軽にできる」という謳い文句があるからかな?と思いました。
「気軽に子供を作ろうとしている」「簡単に命を授かろうとしている」そんな罪の意識を感じてしまうからなのかも、と思いました。
私もシリンジキットについて調べていた時に、「気軽にできます!」と書いてあった時、少しモヤッとしました。気持ちは分かりますが、気にしなくて良いと思います!

友情結婚者なら、子供を持つことを諦めていた時期があった方が多いと思います。その悲しみを経験している方なら、気軽に子供を持ちたいな〜なんて思えないと思います。子供うんぬんの前に、まずパートナーと友情結婚ができたこと自体が奇跡みたいなものですから(笑)
だから、「気軽に子供を作ろうとするなんて。。。」なんて思わなくて大丈夫です。悩んで決めたことを、誰も「気軽」なんて思いません!

「もし授かる事ができたら、自分はどうでもいいからその子を絶対に幸せにしてあげるんだ!」私はそう思って妊活を始めました。

子供を想う気持ちがあれば、シリンジでも人口受精でも養子でも、それが友情結婚者同士であろうとも、子供をもってもいいんじゃないかな、と私は思います。

次回は妊娠や出産について書いていきたいと思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

kechuko
著者:けちゅこ

アセクシャルで二児の母。 2018年にカラーズ に入会し、7ヶ月間の活動を経て、現在のパートナーと出会い、成婚退会。シリンジでの妊活経験や、アセクシャルである事の悩みなど、マイノリティだからこそ、この経験をもっと共有していくべきでは、と思い、ブログに参加する事に。名前の由来は娘のおしりの呼び名から。