Vol. 22

ノンセクシャルの自認から友情結婚に至るまで

投稿日

2023.08.22

更新日

2024.06.05

こんにちは。カラーズに入会し、友情結婚(成婚退会)しました、佐藤です。
カラーズに入会されている女性の半数と同じく、私はノンセクシャルです。今でこそよく聞くようになりましたし、友情結婚という言葉がメディアで紹介されるようにもなりましたが、私がノンセクシャルであると自認した頃はまだマイナーな言葉だったように思います。当時、私がどう考え・行動して今の結婚生活まで至ったのか、ご紹介します。

目次

普通と違う?と思ったきっかけ

前回の記事とも重複しますが、「私って普通と違うかも?」と思ったのは大学生の頃でした。
当時、好きになった人とお付き合いをすることになり、ご飯を食べたり、遊んだり、家でダラダラしたり、一緒に過ごす何気ない毎日を幸せに感じていました。
お互い一人暮らしだったので、家に泊まることは多々ありました。ある日、寝るタイミングになってそういう雰囲気になったのですが、私はすぐに「嫌だ」と思いました。彼の事は確かに好きだったのに「嫌だ」と思ったんです。
その時は、「付き合って間もないから、今は嫌」と言って断りました。彼も私の気持ちを汲んでくれました。当時は、急だったし、付き合ってそんなに経っていないから、心の準備ができていないだけだと思っていました。

彼が怖くて、一人で泣いた夜

断ったのは言いものの、事あるごとに彼から身体を触られるのがすごく苦手でした。やめて、と言いはするものの、彼に嫌われたくないという気持ちもあり、我慢もしていました。
そんな時、実家に帰省することになり、しばらく彼と物理的に離れました。何故かホッとした自分がいました。好きなのに、会えなくてホッとするなんて変ですよね。
だんだん戻る日が近づいてくると「戻ったら彼としないといけない。嫌だ。怖い」と思い、一人で夜泣きました。精神的にも不安定になっていました。
好きだから付き合ったのに、会うのが怖いなんて、私は本当に彼のことが好きじゃなかったんだろうか、ととても悩みました。結局、帰省から戻って私は彼とお別れをしました。

ノンセクシャルを知ったきっかけ

その彼がきっかけで、私は自分がおかしいのではないかと思うようになりました。
普通の感覚は未だにわかりませんが、好きな人に対してハグはしたいと思うものの、それ以上のことは特に欲求がありません。よく、芸能人とかで「抱かれたいランキング」とかありますが、あれも全くわかりません。他人と性行為をしたいという感覚が無いのです。
泣いてしまうほど、精神的に不安定になってしまうほど嫌なんて、私はどこかおかしいんじゃないかと、当時インターネットで検索をしました。その時に初めて、「ノンセクシャル」という言葉を知りました。

ノンセクシャルを自認したとき

すぐに「私はノンセクシャルなんだ」と思いました。と同時に、それがあまりメジャーではないとも知り、すごく不安になりました。
とにかく同じ人と話がしたい、知りたいと思い、当時はやっていたmixiでコミュニティを探しました。すると、結構ノンセクシャルの人がいたんです。誰にも話せなかった悩みや思いに対して「わかる」「あるある」と言ってもらえることがとても心強く、私は変ではなかったんだ、と救われるような気持ちでした。
同じく、Twitterでもノンセクシャル用のアカウントを作って情報収集し、同じノンセクシャルの人との交流を始めました。

友情結婚を知ったとき

友情結婚を知ったきっかけは、Twitterでした。フォローしていた人が「友情結婚専門の結婚相談所があるらしい」と、カラーズのことを投稿していたのがきっかけでした。
初めて知ったときは、単純に「すごい!」と思いました。ただ、すぐには私も友情結婚をしようとは思いませんでした。否定的だったわけではなく、どこか恋愛結婚をしたいという気持ちがあったのです。
前回の記事でも書いたようにノンセクシャルの彼とお付き合いをしていたので、友情結婚の存在は知ってはいたものの、現実的には考えられていませんでした。また、まだ学生だったので、結婚について真剣には考えていませんでした。

結婚したかった理由

お付き合いしていたノンセクシャルの彼とは、セクシャリティとは違う理由でお別れをしました。社会人になっていた私は、自然と周りに結婚する人がぽつぽつ出てきたことにより、結婚について考えるようになりました。
そもそも私はあまり子どもが好きではなかったので、結婚したい理由は「子ども」がスタートではありませんでした。ただ、体裁をすごく気にする性格なので、いつまでも独り身なのは嫌だ、老後も一人なのは悲しいと思い、その理由で結婚したかった気持ちはありました。また、親を安心させたかったことも理由の一つです。
私は自分の両親を含め、家族が大好きです。できることならずっと家族と一緒に住んでいたいと思っていました。けれど、親は次第に老いていき、いつかは死んでしまいます。そうなったとき、私も両親にそうしてもらったように、温かい家族を作りたい、親にしてもらったことを子どもに残していきたいと思いました。
それから、結婚について現実的に考えるようになりました。

友情結婚を考えるまで①

結婚に前向きになったのは良いものの、最初から友情結婚を考えていたわけではありませんでした。やっぱりどこか、恋愛結婚をしたいという気持ちがあったのです。
一方で、大学生の頃に泣くほど彼と性行為をするのが嫌だったことが、一種のトラウマになっていました。絶対にノーマルの人とは付き合えないと思ったのです。たとえ相手が理解してくれたとしても、一生しないのは無理だと思いました。それほど、私にとっては苦痛なことでした。
その時、インターネットで偶然友情結婚?をしている夫婦を知りました。友情結婚という言葉は使っていなかったのですが、高校の同級生同士で、お互い誰かを好きになることがなく、逆にそういうところで意気投合して結婚した夫婦でした。同じ趣味を楽しみ、尊敬しあってるその二人が、私にはとても羨ましかったのです。
「ノンセクシャル同士の恋愛結婚」が私の理想でした。

友情結婚を考えるまで②

できれば恋愛結婚をしたいと思っていたものの、その確率はそれほど高くないと思っていました。まず、ノンセクシャルの男性を見つけなければいけません。自分がノンセクシャルであることを公言している人は少ないでしょうし、そんな中で見つける必要があります。
そして、その方を私が恋愛的に好きになること、相手が私を好きになってくれること、それも確率が高いわけではないです。また、セクシャリティのこと以外でお別れする可能性だってあります。そう考えると、私は到底、ノンセクシャル同士の恋愛結婚が現実的には思えなかったのです。
その時はまだ若かったのもあり、一年の猶予を自分に課しました。この一年間、恋愛結婚が出来る可能性があると思わなかったら友情結婚をしよう。そう思いました。
職場やプライベートでも、出会いはたくさんありました。好きな人もいました。けれど、前述した条件に合う人や出会いはありませんでした。
そうして一年が経ち、私はカラーズに連絡をしました。

友情結婚を決意した理由

よく決断しましたね、と言われたことが何度かあります。カラーズの中村さんと面談をしたときも、私はまだ二十代で、結婚しなくても遅くはない年齢でした。
けれど、一年の猶予があっても出会いがなかったということは、これからも出会う可能性が高いとは思いませんでした。カラーズに入会したからといって、数ヶ月で結婚できるとも限りませんし、友情結婚活動にも一定程度の期間が必要と考えていました。
また、友情結婚を考える中で、転居も必要であることもこの時点で考慮していました。私が住んでいる地域には入会者が多くありませんでしたので、成婚退会となったときに転居・転職する可能性があり、転職しても受け入れてくれる可能性が高く、それまでのキャリアを無駄にせず、一定期間働いて育休が取れる環境を考えると、二十代で友情結婚活動に踏み切ったのは早すぎることはなかったと思っています。

友情結婚活動を終えて

友情結婚活動は1年程で終了しました。成婚退会してからは転居・転職し、育休もとり、キャリアアップし…と想像通り進みました。
当時は想像していませんでしたが、子育てには体力が必要です。早いうちに結婚し、子どもを授かれたことは結果的に良かったなと思っています。
私は友情結婚を決意するまで、また、成婚退会するまで比較的早い方だったと思います。人によって何を大事にしたいかは違いますので、もっと悩む人もいるでしょう。
ぜひ、結婚という枠に問わられず、自分の人生をどう歩みたいかを考えて決断してほしいなと思います。私は結婚もしたいし、子どもも授かりたいし、仕事も頑張りたいし…と色んなことを総合的に考えて決断をしました。
せっかく結婚したのに思ったような生活にならなかった、後悔している、とならないように、考え抜いて欲しいと思います。

sato
著者:佐藤

10代でノンセクシャルを知り、20代で恋愛結婚はできないと断念。一念発起してカラーズに入会後、友情結婚(成婚退会)しました。人工授精で子どもを授かり、現在は夫の高橋さんと協力しながら子育て真っ最中。元友情結婚活動者、結婚当事者のリアルな姿をお届けします。