Vol. 29

子育てしながら感じるジェンダー

投稿日

2024.10.18

更新日

2024.10.08

こんにちは。カラーズに入会し、友情結婚(成婚退会)しました、佐藤です。

私はパートナーである高橋さんと子育てをしていますが、改めて自分が子どもだった頃と今とで、
ジェンダーについての意識や社会の仕組みが変わってきたなと感じます。
一方で、まだまだ変わっていないなと思う部分や、こうなったらいいのにと思う事もあります。
※子どもの性別についてこのブログでは触れてきていないのですが、今回は便宜上「男の子」とし
て書いていきます。

よく、男の子は乗り物や恐竜などの所謂「かっこいいもの」、女の子はお人形やおままごとなどの「かわいいもの」を好むと言われますよね。
私自身、幼い頃は人形遊びやぬり絵など、ザ・女の子という遊びが好きでした。我が子を見ていると、やはり前述のように乗り物のおもちゃが好きです。

男の子だから・女の子だから、と分けておもちゃを与えた記憶はありません。
赤ちゃんが使うおもちゃは、積み木やボール等、あまり性別に分かれていないものがほとんどで、そこから次第に「あ、この子は車が好きなのかも?」と気付いて、好きそうなおもちゃを買い足していきました。
その結果、男の子が好みやすいおもちゃで遊ぶようになりました。

私の友人の子どもも男の子なのですが、乗り物のおもちゃよりも人形遊びの方が好きなのだそう
です。友人はそれを見て「大丈夫かなぁ」と言っていたのを聞き、私は前のめりで「何を好きになってもいいじゃん!」と伝えました。
男の子だからこうあるべき、というラベリングを大人がすべきではないと、子育てをして強く感じる
ようになりました。

子ども服売り場を見ていると顕著ですが、男の子は黒や青などの暗い色、女の子はピンクや紫などの明るい色が目立つようになります。
最初こそは子どもの服は親が選んで買っていたものの、ある程度大きくなると自分で選びだすのですが、やはり我が子は「かっこいい色」を選びがちです。

幼稚園では男の子と女の子でエプロンの色が違ったりして、そこにも男女による区別を感じました。
色の好みはあれど、エプロンなんて男女で変える必要はないと思うので、何故色が違うの?とモヤッとしました。

とはいえ、今は色の好みも多様になってきたと感じていて、例えばランドセルは今は色んな色があ
りますよね。女の子の方がバリエーションが増えたように思いますが、水色、紫色が人気なのだそ
うです。
男の子がピンク色のランドセルを背負っているところはまだ見たことがないですが、昔に比べて選
択肢は圧倒的に増えたように思います。

学校によるかもしれませんが、小学校以上になると幼稚園よりもジェンダーの区別をなくそうという取り組みが増えているように思います。
まだまだ少ないですが、女の子の制服にスラックスが選択できるようになったという話はニュースでもよく耳にします。その他、私が学生の頃は名簿は男女別でしたが、今はあいうえお順で男女
混合だったり、「~ちゃん」「~くん」ではなく「~さん」と呼ぶように指導されていたり、時代とともに変化を感じます。

前述のランドセルもそうですが、制服にしても、どちらかというと女性の方の自由度があり、選択肢
の幅が広いように思います。男の子でもスカートを履きたい人はいると思いますが、なかなか制服
で実現するにはハードルが高そうですよね。

必要な男女の区別はあっても、区別する必要がないものはたくさんあり、それを変えていくには社
会の意識と理解も変化させていかないといけないと感じています。

子どもが小さい時に、「お母さんは女の子だよね」と聞いてきたことがあります。
「○○くんは、男の子・女の子どっちだと思う?」と聞いてみると、少し悩んで「エプロンの色が青だから、男の子かなぁ」と答えてくれました。

まだ小さい頃というのは、自分の中で男女の違いがはっきりしていなかったり、そもそもの区別をしていないので、社会的な男女の区別から判断したのかなと感じた出来事でした。

一方で、「僕、○○ちゃんが好き」と異性の名前を出したこともあります。好きという子は全員が女の子です。これにも不思議さを感じました。

男の子・女の子という違いを理解しようとしている最中で、好きな子ははっきりと「異性」を選んでいたんです。それは私が知らない彼の経験の中で、「男の子は女の子が好きなものなんだ」と考えてそう言ったのかもしれませんし、今後もっと自分の意思がはっきりしてきたときに違和感を覚えることもあるかもしれません。

我が子の名前を決める時に、ずっと決めていたことがありました。それは、男の子でも女の子でも通用する名前にすること、でした。

子どもが大きくなって、自分の気持ちをきちんと理解して言語化できたときに、もしかしたら性自認が身体の性と違うかもしれません。そうであっても、あなたはあなただよ、と伝えられるようにそういう名前にしました。

また、なるべく「男の子だから」「女の子だから」というラベルを貼らないように意識しています。男の子でもピンクが良いと言えばピンクを買うし、女の子が好みそうなものを欲しがってもそれを与えます。

幼い子どもは、本当にフラットです。次第に自分の性別を理解し、学んでいきます。その過程を見てきた中で、「自分は男の子ではない気がするけど、男の子の物を与えているから男の子だ」という理解をして欲しくないと思っています。

子どもというのは、親や学校が世界のすべてになりがちです。学校で否定されたら全世界から否定されたような気がします。私自身、友人関係がうまくいかなかったときに学校に行きたくない、と感じたことがあります。
でも、学校に行かないと私の居場所がなくなってしまう、存在価値がなくなってしまう、とも思いました。

セクシャルマイノリティには、自殺未遂や実際に自殺してしまった方の割合が、マジョリティに比べて非常に多いそうです。それは、誰にも言えず、自分の事を自分らしく表現して生きていけないという苦痛もあったのだろうと思います。
我が子がもしそうであったとき、あなたはあなただよと言ってあげられるように、学校で否定されても私たちは肯定するよと言ってあげられるように、信頼関係を築いていくことは大切だなと、自分が親になって初めて感じました。

そのためには、親が子どもにラベルを貼らないこと、過度な期待をしないこと、を意識するようにしています。

sato
著者:佐藤

10代でノンセクシャルを知り、20代で恋愛結婚はできないと断念。一念発起してカラーズに入会後、友情結婚(成婚退会)しました。人工授精で子どもを授かり、現在は夫の高橋さんと協力しながら子育て真っ最中。元友情結婚活動者、結婚当事者のリアルな姿をお届けします。